11月15日のいんすぴゼミです。
芸術に関するパートが続いていますが、これがとても興味深いです。
以下、少し本文から引用します。
「つまるところ、こうなる。私たちが美しいと感じる者は、恣意的でもランダムでもなく、ヒト科の動物が何百年もかけて感覚や知覚を発達させる中で進化してきたのだ。適応上価値のある(つまり、安全性を高め、生存や繁殖を助ける)感覚と知覚は美的に好まれるようになることが多い。」
人が、対称性/規則性/リズミカルな模様などの視覚刺激にポジティブな印象を持つのは、それらの視覚情報が脳にとって情報処理しやすい情報であるからのようです。情報処理しやすいからこそ報酬系に結びついて、「好ましい」映像として知覚されるのでしょう。
逆に雑多な情報はネガティブな印象を持ちます。普段は穏やかな空に、急に鳥がたくさん飛び交っているとかは、なんだかなにか起こりそうで怖くなったりしますよね。
きっとそんなことだと思うのです。
であれば、脳卒中など情報処理スピードが遅延しやすくて問題を抱えておられる方達は、できるだけ視覚情報処理をしやすい環境を整えていくことも大切かも知れないですね。うちの事業所を考えると、少し雑然としすぎているかも・・・
あと強く興味を引いたのは、レイバーらの滑らかさの仮説というやつです。私たちの脳はなにかを素早く処理したときにポジティブな反応を得ることが出来るそうです。レイバーらはこれを計測しようとして、ポジティブな情動反応を表す大頬骨筋(笑顔を作る筋)の反応を筋電図で取って検査をしたようです。すると、脳がとても滑らかに処理する者を私たちが目にすると、それに対する判断が下されるずっと前に、筋活動が起きているそうです。
意識的な判断の前に筋活動が起きる。脳は意識に先行して、その物が好ましいか否かを判断していると言うことになりますね。
運動においても、脳の情報処理で運動が選択されたあとに「意識」というものが作られているようです。
同じですね。多分(かなり高い確率で正しいと思うのですけど)、脳の情報処理による情報の判断(選択)は基本的には意識化される前に起きているのかも知れないと思います。
リハビリテーションに関わるセラピストはこのことを強く意識しておかないといけないのでは無いかと思います。そのことはまた何かあったら別の記事として書くかも知れません。
私たちセラピストはアプローチにしても評価にしても「意識」に頼りすぎなのかも知れません。
今回読んだ話の中で、自然界の景色をなぜ好むのかという話が紹介されていて、自然界に存在する多くの者はフラクタル幾何学として知られる特徴を備えているという話が出ていまして、毛内先生が少しフラクタル構造の話をされておられました。
脳もフラクタル幾何学の特徴を備えているそうです。
言われてみればそうですね。細胞やシナプスの接続を考えるとフラクタル構造といえますね。アストロサイトの足突起もフラクタル構造ですし。
毛内先生、ご存じかも知れませんが、膠原原繊維もフラクタル構造ですよ。(*^_^*)
この日の最後は音楽の話題になってきていました。
次回も面白そう。楽しみです。
図は、アナトミートレインという本からです。皮膚と腱の間にある原繊維の状況を表しています。
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