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Methodological quality of systematic reviews on treatments in stroke rehabilitation: A cross-sectional study
「脳卒中リハビリテーションにおける治療に関するシステマティックレビューの方法論的質:横断的研究」 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/pmrj.70202 この研究は、個々の脳卒中リハビリテーション技術の有効性を論じる研究ではありません。 有効性を判断するために使われている研究そのものが、どれほど信頼できるものかを検証したものです。 2021年1月から2023年9月までに発表されたシステマティックレビューの中で、140件を対象に調査をしています。その結果、130件(92.9%)が方法論的な質について「極めて低い」と評価されました。 これには非常に重要な意味があります。 ひとつは、私たち臨床家にとって、むやみにシステマティックレビューを信頼すべきではないという警告の意味となるでしょう。 そして、研究者にとってみれば、研究論文を書けば科学的に信頼されるという時代が過ぎ去り、信頼性が乏しい研究は淘汰され、より信頼性の高い研究を模索するための試金石となるのだろうと思います。 では、この研究を紹介したいと
Nagashima Kazuhiro
3 日前読了時間: 7分


リハビリテーションの目的と探索行動
リハビリテーションの目的というと、「全人的復権」という言葉を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか? 「全人的復権」とは、病気やけがなどによって尊厳や権利を傷つけられた人が、人間らしく生きる誇りや、自分らしい生活を再び取り戻すこととされています。 ここで一つ問題になるのは、 「人間とは何か?」 という、かなり根源的な疑問です。 ここに答えが出せなければ、「人間らしく生きる」という言葉そのものが、少し曖昧になってしまいます。 ところが、この答えを導き出すのは簡単ではないのですねぇ。(^^;; かつて、マイケル・ガザニガという神経科学者が書いた『人間とはなにか』という本を読みました。 非常に大雑把に、その内容を私なりにまとめてみます。 ガザニガは、人間も他の動物と同様に、環境から情報を取り込み、非意識的な神経処理によって行動していることを指摘しています。 人間だけが、動物とはまったく別の原理で行動しているわけではありません。 一方、人間で特に発達したのが、 行動する→自分の行動を意識する→「なぜ私はそうしたのか」を解釈する→一貫した物語にする→その
Nagashima Kazuhiro
10月1日読了時間: 5分


流し目とサリエンスネットワーク
――目は口ほどに「脳」を語る? 先日、高市首相がトランプ大統領に「流し目を送った」などという話を目にしました。 それが本当に流し目だったのか。 色目だったのか。 単に横を見ただけなのか。 そんなことは、まあ、どうでもいいのです。 ただ、 「流し目って、脳の中では何が起きているんだろう?」 と考え始めると、これが意外に面白い。 見たい。でも、露骨には見たくない 例えば、少し気になる人が横にいるとします。 見たい。 でも、顔ごと向けてじっと見るのはちょっと恥ずかしい。 すると顔は前を向いたまま、眼球だけがそちらへ動くことがあります。 これを第三者が見ると、 「あ、気になっているな」 と感じるかもしれません。 これが意図的に使われれば、いわゆる「流し目」になるのでしょう。 でも、こうした眼球運動は性的な場面だけで起こるものではありません。 例えばホラー映画。 主人公の横に、何かがいる。 怖い。 見たくない。 でも、何がいるのか確認しなければならない。 顔は動かない。 身体も固まっている。 ところが、目だけがゆっくり横を向く。 ホラー映画では、こうした眼
Nagashima Kazuhiro
9月27日読了時間: 7分


良質な睡眠のための姿勢制御
「夜、寝返りはしていますか?」 そんなことを患者さんに聞く機会が、最近少し増えました。 というのも、夜間に腰が痛い、よく眠れない、朝から疲れている、といった方をみていると、どうも寝返りが少ない人がおられるのです。 もちろん、寝返りが多ければ多いほどよい、という話ではありません。 寝返りが多すぎる場合には、痛みや呼吸障害、温度などによって睡眠が不安定になっている可能性もあります。 ただ、本来人間は、眠っている間にも身体を動かしています。 一般成人を日常環境で測定した研究では、睡眠中の体位変換は平均すると1時間に約1.6回行われていました。 寝ているというのは、「動かないこと」ではないのです。 Sleep positions and nocturnal body movements based on free-living accelerometer recordings: association with demographics, lifestyle, and insomnia symptoms では、なぜ寝返りをするのでしょう。...
Nagashima Kazuhiro
9月14日読了時間: 13分


Molecular biomarkers in stroke recovery〜SRRRの提言
Stroke Recovery and Rehabilitation Roundtable 脳卒中回復・リハビリテーション・ラウンドテーブル:SRRR という国際的な取り組みがあります。 みなさん、SRRRをご存知でしたでしょうか? 僕は知りませんでした。(^^;; 先日、脳卒中の「回復」についてマギ(ChatGPT)と話していました。 ふと、「最近の新しい知見はないか」と尋ねたところ、最近のものではないけれど重要な論文として紹介されたものの中に、SRRRの論文が入っていたのです。 調べてみると、これはなかなか興味深い取り組みでした。 世界各国の脳卒中回復・神経リハビリテーションの研究者、基礎科学者、臨床研究者、統計家、方法論の専門家などが集まり、研究方法、評価法、バイオマーカー、臨床試験の設計などについて国際的な共通基盤を作ろうとしている活動です。 その背景には、「そもそも脳卒中からの回復とは何なのか」という、かなり根本的な問題があります。 2012年、Krakauerらは、脳卒中後にある課題が「できるようになる」ことと、本来の運動パターンその
Nagashima Kazuhiro
9月6日読了時間: 8分


感覚論理の情報処理
Sensory Logic in Neural Information Processing: Toward a Framework of “Sensory Logic Studies” English Summary In this article, I use the provisional term “Sensory Logic” to describe a hypothetical form of information processing through which the nervous system detects and utilizes regularities in the relationship between the body and the environment. I tentatively refer to the broader attempt to investigate these processes as “Sensory Logic Studies” (感覚論理学). This is not inten
Nagashima Kazuhiro
8月30日読了時間: 14分


大脳基底核の回路は何が変わったのか?
大脳基底核の研究は、近年かなり進んできています。 では、線条体、淡蒼球、視床下核、黒質、視床などの構造や、それらを結ぶ回路そのものが、昔とはまったく違うものになったのでしょうか。 結論から言うと、 「基本的な構造と回路は変わっていない。しかし、その使われ方は、以前考えられていたよりずっと複雑だった」 というのが現在の理解に近いと思います。 これまで大脳基底核は、よく自動車に例えられてきました。 「直接路は、運動を始めるアクセル・間接路は、運動を止めるブレーキ」 直接路が働くと運動が促進され、間接路が働くと運動が抑制される、という説明です。 このモデルは、現在でも大脳基底核の基本構造を理解するうえで役に立ちます。 ただし、実際の脳活動を調べてみると、運動を始める際には直接路だけでなく、間接路も同時に活動していることが分かってきました。 つまり、直接路と間接路は、単純にアクセルとブレーキとして交互に働くわけではなさそうです。 現在では、 「直接路が、選ばれた行動を通す・間接路が、競合する別の行動を抑える・両者が協力して、実行する行動の輪郭を作る。」
Nagashima Kazuhiro
8月14日読了時間: 4分


CINAC(シナク)とは?〜「相関関係は因果関係を意味しない」という科学の基本原則
CINACという略語には、少なくとも二つの用法があります。 一つは、本記事で扱う Correlation Is Not A Cause――「相関関係は因果関係を意味しない」という科学的推論の原則です。 もう一つは、医学用語の Chronic Interstitial Nephritis in Agricultural Communities――「農業地域に多発する原因不明の慢性間質性腎炎」を指します。 本記事では、前者のCINACについて説明します。 以前から、私はときどき「CINAC」という言葉を使っています。 CINACは、 Correlation Is Not A Cause の頭文字を取ったもので、「相関関係は因果関係を意味しない」という科学的推論の基本原則を思い出すための言葉です。 「相関関係は因果関係を意味しない」という考え方自体は、統計学や医学、疫学、社会科学などで広く共有されています。 一方で、「CINAC(シナク)」という略語そのものは、特に日本では、まだ一般的な言葉とは言えないように思います。 しかし、「相関関係と因果関係を
Nagashima Kazuhiro
8月4日読了時間: 5分


課題指向型訓練は、何を証明してきたのか〜推奨の根拠を一次研究まで遡って考える
現在、課題指向型訓練というのは多くの国々で推奨されている脳卒中リハビリテーションの訓練手法と言えるのだろうと思います。 一般的に、課題指向型訓練は科学的根拠に沿ったリハビリテーションのあり方として考えるような風潮がありますよね。 私はここにふたつの違和感があるのです。 ひとつは、既存の脳卒中リハビリテーションの手法では、何かしらの課題と組み合わせて行われることが通常です。立ち上がりにせよ、座位バランスにせよ、歩行にせよ、日常生活の諸動作にせよ、何かしらの課題を繰り返し練習するのが通常ですよね。では、課題指向型訓練とは何が特異的であるのかという疑問が湧きます。科学的に検証するのであれば、通常訓練の枠組みと異なる課題指向型訓練の枠組みが必要です。共通する枠組みが明確でなければ、個々の研究で設定された訓練の効果を検証することはできても、それを「課題指向型訓練一般の効果」として統合し、一般化することは難しくなります。 もうひとつ。運動学習に反復などの練習量が必要であることも間違いがないのです。 一方で、運動学習は同じ運動の反復だけによって成立するものでは
Nagashima Kazuhiro
7月25日読了時間: 39分


私の論文の読み方
私は論文を読む際、研究結果や著者の結論だけを見るのでは無くて、その結論がどのような条件の下で研究され、どこまで成立するのかを考えるようにしています。 まず、研究者の属性を大まかに調べます。その論文を書いた研究者や所属組織がどのような領域に関心を持ち、特定の治療法や理論を支持しているのかを確認します。 これは、研究者の立場だけで論文を否定するためでは無くて、その立場が、研究対象の選択・介入の定義・分析方法・結論の表現などに影響していないか調べるためです。 特定の治療法や理論を支持していたり、あるいは新しい治療法を開発していた場合などは、人の脳は判断と言った情報処理に対して容易にバイアスが加わるためです。これは、人の情報処理の特性とも言えるので、本来は研究というのは中立の立場で行われることが望ましいのですが、全く中立の立場で行われ、発表される研究論文は、おそらくかなり少ないのでは無いかと思います。 次に、研究対象となった集団が適切か確認します。 研究対象となった標本が、結論を一般化しようとする母集団を適切に代表しているか、という確認です。...
Nagashima Kazuhiro
7月19日読了時間: 5分


意識が行動を決定しているというモデルに対する疑問〜受動意識仮説
2026年6月3日、Neuroscience Newsの記事に“Why the Brain Doesn’t Need Choices to Generate Intent”という論文が紹介されました。 https://neurosciencenews.com/brain-decision-sandwich-model-fallacy-30814/?utm_source=aweber&utm_medium=email&utm_campaign=feed-entry-title-neuroscience-news この論文の要約は、次のようなものです。 従来の認知神経科学では、行動は大体次のように説明されてきました。感覚入力→認知的判断・意志決定→運動出力このように、感覚と運動の間に「意思決定」という高次の認知処理が挟まっていると考えるモデルを、記事ではサンドイッチモデルと呼んでいます。Jamesはこの見方に疑問を投げかけます。理由は、脳には感覚処理や運動処理に対する神経機構は明確にある一方で、両者の間に独立した「意思決定センター」のような物が見つか
Nagashima Kazuhiro
6月7日読了時間: 5分


脳の可塑性を支える条件の概略と側坐核
脳の可塑性を充分に発揮するためには、以下の条件が必要です。 1.エネルギー産生が保たれていること 可塑性は、シナプスの変化、軸索・樹状突起の再編成、神経伝達、タンパク合成、炎症制御などを伴うことになりますので、かなりエネルギーが必要だと言えます。 ですから、土台にはミトコンドリア機能、血流、酸素供給、代謝の安定が必要です。 現在では、脳卒中後リハビリテーションにおいても、ミトコンドリアはエネルギー産生・神経保護・運動回復に関わる重要な標的として扱われています。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12466533/?utm_source=chatgpt.com 2.グリアが神経回路を支えられる状態にあること 以前は可塑性というとニューロン中心でした。 現在は、アストロサイト、ミクログリア、オリゴデンドロサイトを含めた「神経ーグリアネットワークの再編成」として捉えるのが重要になってきています。 アストロサイトは、シナプス周囲で神経活動を調整し、シナプス効率や記憶痕跡の形成・安定化、そして学習に関わること
Nagashima Kazuhiro
6月4日読了時間: 6分


FIMの科学的脆弱性とFIM利得の構造的危険性
はじめに、私はFIMという評価方法を否定するわけではありません。 現在の状況であれば、FIMは臨床上有用な共通言語で在り、介助量の変化を共有する補助指標として意味があります。 ただ、その科学性には限界があるということを言いたいのです。 1)FIM(機能的自立度評価法)とは何か? 言うまでも無く、FIMはADLの指標として使われている評価尺度です。 ADLの評価尺度としては、1965年頃より、バーサルインデックス(BI)が使われていました。BIは「日常生活動作の自立度」を簡便に測るための尺度です。 BIは、食事、移乗、整容、トイレ、入浴、歩行、階段、更衣、排便、排尿等を基本的なADLとしてセルフケア能力を評価する目的で作られたものです。 しかし、簡便であるがゆえに認知、コミュニケーション、社会的判断など実際の日常生活で自立を左右する要素を十分に含まず、また、点数が粗いために介助量の変化や軽微な改善を拾いにくいと云う問題を抱えていました。 そうした問題に対して、1983年頃、米国のリハビリテーション関連学会のによって開発されたのがFIMです。...
Nagashima Kazuhiro
5月22日読了時間: 9分


大脳基底核をめぐる最近の研究と脳卒中後の運動学習_2026
脳卒中後の運動学習について考える際に大脳基底核の働きというのは重要です。 そこで、最近の大脳基底核をめぐる研究をいくつか紹介し、最後に脳卒中後の運動学習についてのレビュー論文を紹介したいと思います。 ライングループやFacebookにアップした文章をまとめた物です。 1.線条体行動選択と強化学習の動態 Dynamics of striatal action selection and reinforcement learning 大脳基底核の働きとして、ハイパー直接路(全体的な抑制)/直接路(促通)/間接路(抑制)というGo/NoGoのメカニズムは古くから知られていました。 単一のターゲットシステムの活動制御としてみると、全く論理的なメカニズムに見えますね。 一方、マースデンは「基底核は、”後天的”に学習した運動機能の”自動的”な発動・発現に重要な働きをもつ」と指摘し、大脳基底核が運動プログラムの選択/切り替えや学習において中枢的な役割を果たしていることを提唱していました。 学習という側面から大脳基底核を見ると、少しおかしなことが起こります。..
Nagashima Kazuhiro
5月16日読了時間: 26分


線条体行動選択と強化学習の動態
大脳基底核の働きとして、ハイパー直接路(全体的な抑制)/直接路(促通)/間接路(抑制)というGo/NoGoのメカニズムは古くから知られていました。 単一のターゲットシステムの活動制御としてみると、全く論理的なメカニズムに見えますね。 一方、マースデンは「基底核は、”後天的”に学習した運動機能の”自動的”な発動・発現に重要な働きをもつ」と指摘し、大脳基底核が運動プログラムの選択/切り替えや学習において中枢的な役割を果たしていることを提唱していました。 学習という側面から大脳基底核を見ると、少しおかしなことが起こります。 単純化すれば、dSPNは選択された行動の促通に、iSPNは競合行動の抑制に関与すると考えられてきました。これらはドーパミンの増減で働きを変えることになっています。 例えば、選択しうる選択肢として行動A と行動Bが存在しているとします。 この時、行動Aを選択したとします。 単純なGo/Nogoモデルとして考えると、大脳基底核の中では、dSPNが行動Aを促通していて、iSPNが行動Bを抑制しているという事になります。...
Nagashima Kazuhiro
5月10日読了時間: 5分


脳の3つのネットワーク
脳の大規模ネットワークを考えるとき、特によく取り上げられる3つのネットワークがあります。簡単に説明しますね。 1)デフォルトモードネットワーク(DMN)内側に向かう脳記憶・想像・自己・物語・ぼんやり思考などに関わるネットワーク 2)実行制御ネットワーク(ECN/CEN)目的に向かう脳計画・論理・集中・抑制・問題解決などに関わるネットワーク 3)サリエンスネットワーク(SN)切り替える脳重要なものを見つけて、DMN・ECN・外界への注意などを切り替えるネットワーク もっともらしい分類ですね。(^_^;) 現在では、脳科学において当然のように用いられているこの3つのネットワークが、どのように整理されてきたのかというお話をします。 基本的には、人間、あるいは動物の脳活動が、単一部位の働きではなく、複数領域の協調パターンとして現れることがわかってきました。その流れの中で、脳を部位ごとではなく、ネットワークとして分類する考え方が自然に生まれてきたのだと思われます。 ある意味、脳の情報処理におけるホーリズム、といったところでしょうか。 まず、1990年代から
Nagashima Kazuhiro
5月7日読了時間: 5分


脳卒中の再発率
ご利用者さんで、わりと頻繁にお尋ねになってこられることのひとつに、「病院で10年での再発率が50%だと言われた。」との話があります。 これって、本当だと思います? (^_^; 私は、そうした研究があったとして、それはちょっと母集団のコントロールがきちんとなされていないのでは無いかと思ったのですね。 というわけで、ちょっと調べてみました。 恐らくですが、この話のソースは久山町研究と呼ばれるものです。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1739549/?utm_source=chatgpt.com これは、九州大学でおこなわれた研究で、九州の福岡の久山町の住民を対象に、初回脳卒中の再発率を10年単位で追った研究です。 研究が発表されたのは、2005年ですね。 40歳以上の1621人を32年間追跡し、その中で初回の脳卒中を起こした410人を10年間追跡調査をおこなったものです。 そのうち再発したのは108人(26%)ですが、研究途中で死亡などにより追跡が困難となる人もおられるので、Kaplan–Meier
Nagashima Kazuhiro
4月11日読了時間: 4分


価値を選択に変換する意志決定の神経回路
上記の報告が2026年3月28日にありました。 価値を選択に変換する意志決定の神経回路(PDF)へのリンクはこちらです。 本文より。 「 研究では、サルに選択肢を提示し、選ぶか どうかを決定させました。このとき、腹側線条体と呼ばれる脳領域の神経活動が、まず選択肢の価値を反映し、その後徐々に「実際に選択するかどうか」という意思決定の信号へと変化していくことが明らかになりました。 この脳領域が価値情報を意思決定に変換する「橋渡し」の役割を担っていることを示しています。次に、腹側線条体に密に投射するドーパミン神経を光遺伝学と呼ばれる手法で活性化したり、腹側線条体自体を電気刺激すると、サルの選択が変化することが確認されました。これは、ドーパミン―腹側線条体神経回路が意思決定 の実行に因果的に関与することを示す証拠です。 」 つまり、腹側線条体と辺縁系のループが行動の報酬予測誤差を伝えることで行動選択が起きているというお話なのです。 ちょっとビックリしたんですね。 (^_^; 私は、もう既に定説とも呼べる一般的な知識となっていると思っていたのです。 どうや
Nagashima Kazuhiro
4月1日読了時間: 3分


The Natural “Biological Clock” of Stroke Recovery
「The Natural “Biological Clock” of Stroke Recovery」 と云う報告を目にしました。 今までの脳卒中リハビリテーションの研究は、母集団のコントロールが十分ではない印象を持っています。例えば、前向きコホート研究でも後ろ向きコホート研究でも良いのですが、コントロールされていない母集団で、早期リハビリをおこなっている群と、早期リハビリをおこなわなかった群を比較し、早期リハビリをおこなった方が予後が良いという研究結果が出たとしますね。しかし、大雑把な研究デザインでは、結局早期リハビリをおこなわれている群というのは全身状態が安定していて早期からのリハビリが可能であっただけで、逆に早期リハビリをおこなわなかった群というのは、発症後の全身状態が不安定で早期リハビリを行う事が出来なかったもしくは危険であった群である可能性が排除出来ないのです。この研究において、早期リハビリを行った事と、回復の程度が相関関係を証明出来たとしても、それは因果関係とは言え無いです。寧ろ、病態そのものと強い因果が在る可能性が在ると考えるのが普
Nagashima Kazuhiro
3月28日読了時間: 3分


脳の可塑性とミトコンドリア
― 中枢性疲労を代謝の視点から考えてみる ― 現在の脳科学では、脳に可塑性があるということは、ほぼ定説として受け止められています。脳損傷後、元の状態に完全に戻るわけではありませんが、神経回路の再編成によって「今より動きやすくなる」「できることが増える」といった変化が起こり得ることは、臨床でも日常的に経験されているところだと思います。 一方で、現場にいると、 疲労が非常に強い 刺激量を増やすと調子を崩す 一見できているのに、持続しない といったケースにも、しばしば遭遇します。 こうした状態は、単純に「可塑性を引き出せばよい」という説明だけでは、少し捉えきれない印象を受けます。 可塑性の前に、エネルギーの話を シナプス可塑性や神経回路の再編成といった現象は、情報処理の問題として語られることが多いのですが、そもそもそれらは エネルギーを消費する現象 です。 神経活動そのものに加え、 イオン勾配の回復 グリア細胞による環境調整 ネットワーク全体の再構築 これらはすべて、ATP供給を前提としています。 このエネルギー産生の中心にあるのが、ミトコンドリアです
Nagashima Kazuhiro
1月12日読了時間: 4分
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