Nagashima Kazuhiro

2021年2月11日3 分

Fascia

最終更新: 2021年5月25日

Fasciaとは日本語では「筋膜」と訳されています。

そのため、筋肉を包む膜-(筋外膜、筋周膜、筋内膜)と勘違いされることが多いようです。

私も、そう思っていた一人ではあるのですけれど。

Fasciaというのは、結合組織のことです。膠原原繊維(以下原繊維)はフラクタル構造となっていてその構造が密でシート状になった部分を膜と呼びます。浅筋膜は角皮下層のあたりで原繊維が密になってシート状になった膜で、深筋膜はそのさらに深層にあるシート状になった部分です。

写真をみると、真相の白い膜状のところから網目状のフラクタル構造をした原繊維が皮膚につながっているのがわかると思います。

皮膚からの略図をネットで見つけたので貼っておきます。

原繊維は、場所によって形状や性質が変化し、名称も変わります。例えば、筋外膜・筋周膜・筋内膜は骨に近づくとさらに密な組織となり腱と呼ばれます。腱は骨と接続する部分で骨膜になっていくわけです。

頭蓋底の頸動脈管という穴から頭蓋の骨膜は骨膜と筋膜からなる頸動脈鞘となって、頸動脈/頸静脈/迷走神経を包みながら下降して線維性心膜となって心臓を包み、その下で心横隔膜靱帯となり横隔膜と接続します。

横隔膜は、腹膜や腹腔内の臓器を包む膜などと接続しています。

そういった形で、fasciaという名前のついた結合組織の密になった部分は全身とその臓器をくまなく包みながらあらゆる部分を連結し、隔膜で必要な部分は仕切りを作るようにしながら様々な臓器の形態を維持し繊維連絡をつくっています。

この膜の動きを保証しているのが、膜と膜の間にある原繊維が疎な部分です。ここは伸張-短縮/付着部の移動/分裂-融合/剥離し他の部分と接合などのうごきをもっていて、柔軟にシート状の膜の動きを支えているのです。

そしてその構造から、機械的情報伝達の役割を持っています。

シート状になった原繊維の中にも感覚受容器があるとは思いますが、シート状になった周囲にある原繊維のフラクタル構造の内部に微小空間がありその空間には様々な感覚受容器が存在していて、シートが引っ張られたらその引っ張られた範囲の原繊維は動き、広範な機械的刺激を感覚受容器に入れることになりますので。

そういった意味では、このfasciaの動きは感覚入力装置としてとても大切な働きをしているといえます。

”意思と随意運動”や”効率の良いアプローチ”の記事で書いていますけれど、高次運動野が環境に適応するための多彩なプログラムを形成するには適正な感覚入力が必要です。

fasciaは可動性に影響を与えると同時に機械的感覚入力装置として重要な働きがあると言われています。そういったことを考えると、膜に関する基本的な知識は知っておいて損がないのではないかと思います。


 
膜の写真および原繊維の動画は「人の生きた筋膜の構造」というDVD付きの本からです。いい本です。ちょっと高いけど。

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